ステレオ3D映像作品の、3D画像を用いたレビューの第2弾。
今回は、先月発売された「劇場版3Dあたしンち」
例によって、ある程度のネタバレは含みますので、ご注意下さい。

画像はアナグリフ(赤青メガネ用)のものを貼り付けた上で、MPOファイルをダウンロードできるようにしています。 
3D画像の見方については、こちらを参照してください。
アナグリフだとそれなりにクロストークが出てしまうんですけれどもね(^^;
 
最初は、3Dが良かったシーンから。

まずはタイトル。
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ロゴもCGのスプーンも立体感バツグンです。
ただ、ここまで飛び出すシーンはここだけです(爆)
後ろのマンションの造形も良い感じです。

続いてもマンション外観
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マンションはいつも3D的に良い仕事をします。

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こんな事になってしまっても、立体感は良い感じです。

街並みのシーンも、3Dの空間や造形が良く出来ています。
例えばこのシーンとか 
12-18-10
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このシーンも良いですねぇ
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それから、学校の外観も良い感じです。11-14-00
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程良い立体感の強調具合が好きです。


続いてはこちらのシーン。
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箱が浮かび上がって飛んでくるシーンです。
テレビの上から飛び上がる様子も自然ですし、箱の立体感も良いです。

またティッシュ。
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これらは序盤のシーンなのですが、序盤の3D的な見所の一つはティッシュですねw

序盤では、地味ですが、このシーンも良いと思いました。
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部屋の空間、机、椅子など、良く出来ていると思います。

続いてはゴチャゴチャ系の表現。
02-21-22
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すごいゴチャゴチャ感です。
それに、恐らく現実には有り得ない構図なのではないでしょうか。
なのに、3Dで見ても違和感無く、破綻も見当たりません。

11-15-00
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ここも凄いゴチャゴチャしてます。
しかも、歩いてる人とか机を運んでいる人までいます!
でもちゃんとしてるんですよねー。
こういう物が多いシーンの3Dの作り込みは、何か執念のようなものすら感じます(^^;

続いてこちら。
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壁の奥行き感やエスカレーターの段差が良いですねぇ。

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このカットはかなり立体感が強いですね。
左右と地面にも結構な立体感があるのに、更にしっかり離れたところに空があります。
ちょっと強すぎなのかも知れませんが。

それからこちら。
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ボールがちゃんと丸い!
そしてこの距離感と飛び出し具合!

08-26-05
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こういうエフェクトも3Dになるのは面白いですねぇ。
このシーンではエフェクト自体は2Dのままのようですが…
31-41-00
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このシーンでは文字もしっかり3Dになっています。
これはなかなか楽しい!


さて次に、悪いという程では無いけどちょっとビミョーだったカットです。

まずはこのシーン。
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手前のものは良い感じなんですけれど、右奥の廊下が平面=ハリボテなんですよね。
どのカットをどこまで作り込むかの問題なのでしょうけれども。
面積が広いので気になりました(^^;

01-40-00
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悪かったにするかビミョーだったにするか迷いました。
コーヒーサーバーの底の奥に見えてる部分が、手前にきてしまっていると思います(^^; 
そんなに目立つ部分ではありませんから、これもどこまで作り込むかの問題なのでしょう。
というか、これら2カットは両方とも序盤というのも何かあるのかも知れません。

19-44-00
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タクシーが止まっている辺りの地面の傾斜を考えると、手前の地面の傾斜が強すぎると思います。
ただこれは、左に見えるビル群や、歩道橋やバス、タクシーなど、それらのものを破綻無く配置する為にはこうせざるを得なかったのかなという気がします。
ちなみに、同じような矛盾を感じたシーンはチラホラあります。
良かったシーンで、ゴチャゴチャしているのに違和感の無いシーンを紹介しましたが、どうしても違和感が出てしまうシーンもあるという事なのでしょう。

続いて、こちらの2枚の画像をご覧ください。
11-30-11
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11-30-12
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これらのカットは、連続した2つのカットです。
左右の2人と真ん中の1人の距離感がかなり違って感じます。
これは、絵の構図とか大きさとか、そういうものにもよるのかも知れません。

続いてはこちらです。
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一見良い3Dなのですが、指の周辺の顔の輪郭が、指の方向(=手前)に引っ張られてしまっています。
これが、2D-3D変換をした際に発生するギャップというものですね。
この作品の場合、元々素材が分かれていると思われるので、背景とキャラクターの間などには一切ギャップはありません。
しかしこのような、一人のキャラクターの中に大きな前後差があるカットなどでは、素材の中でギャップが発生している場合があります。
このような現象は所々見られましたが、全てがそうというわけでも無いようです。
例えばこのシーン。
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このシーン等は、指と胴体に大きな前後差があるのに、全くギャップが無いんですよね。
ギャップの穴埋め処理をしたカットとしていないカットがあるのか、それとも別の理由なのか。
謎です(^^;

19-34-17
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このカットも同様です。
立体感は良い感じなのですが、じゃがいも同士の間にギャップが出ています。
てか坂が急過ぎw
嫌いじゃない誇張表現です(爆)

ところで、ティッシュは1枚1枚ちゃんと分かれていたのに、じゃがいもにはギャップが発生してるんですよね。
う~ん、やっぱり謎です(^^;

そしてこのシーン。
20-20-00
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奥から飛んでくるボールが手前に向かってゴールします。 
このシーンは、良く見るとギャップは発生しているんですが、それでも良い3Dと言ってしまって良いのでは無いかとも思うんですよね(^^;
このネットの立体表現、良いですね。

しかも見たところ、他のシーン同様手書き+変換と思われます。

ちなみにこの作品では、CGのシーンも全て2D-3D変換のようです。
03-26-21
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このシーンはどう見てもフルCGですが、全体にギャップが発生してしまっていますね。
立体感は良いと思うのですが、奥と手前の距離がある部分が引っ張られています。
何も分かれていない1枚絵の状態から2D-3D変換を行ったのでは無いかと思われます。

それからこちら。
31-08-00
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これは全然悪いわけでは無いんですけれど、
光の玉の中心が発光源だとしたら、お母さんの向こう側の光はどこから出ているんだろうと(^^;
きっと、狭い空間に頑張って詰め込んだ結果なのだろうと思います。


続いて、3Dが悪かったシーン。

まずはこちら。
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みかん(右のキャラクターです)がカレーにスプーンを入れてすくうシーンなのですが、すくえてません(^^;
カレーの上をスプーンでなぞったら、カレーがワープします。
みかんも超能力者に!?(爆)

続いてこちら。
31-26-18
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床の上にあるはずのお父さんの左足の先が無いです。
このシーン、2Dで見ると、床に隠れている部分が見えてないようにも見えます。
つまり、本来このフレームでは、お父さんはまだ玄関にいたのではないかとも考えられます。
しかし、奥から手前にくるに従って徐々に大きくなってくるキャラクターの絵からして、大きさ的にはこの3Dの位置で正しいと思えるんですよね(^^;
なのでやはり、絵が足りない、という事だと思うのですが、どうなんでしょう…。

悪かったシーンは以上です。


最後にオマケで、終盤の良かったシーンを一つ。
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実は、終盤の画像はあまり使わないようにしていました。
なかなか感動的で衝撃的な展開です。
終盤は、3Dが良い感じのカットも多めです。


という事で、紹介する画像は以上です。
良いシーンは他にもありますし、ビミョーなシーンも他にもあります。
ですが、ここで挙げたシーンを含めて、空間の作りが全然ダメとか、完全に埋まっているとか造形がメチャクチャとか、そういう事は無かったと思います。

ちなみにこの作品の2D-3D変換は、キュー・テックとグラフィニカです。
スタッフロールを見た感じ、キュー・テックの方が比率が多そうです。


さて、全体的な感想なのですが、 ベタ塗りのセルアニメなので、3DCGのアニメに比べると、キャラクターの丸みなどは感じ難いです。
というのも、立体感を感じるのは“左右の映像の差”によってですから、ベタ塗りだと差が出る部分が限られるんですよね。 
それについては、改めて記事にしようかと思っています。

ですが、画像を見ればおわかりいただけると思いますが、手などの前後感はちゃんとしていますし、
ギャップが見える所はちらほらありますが、造形そのものは問題無いと思います。 
そして、街並みの立体感やゴチャゴチャしたものの作り込みは大したものだと思います。
また、所々に3Dを意識した演出があり、3Dは十分楽しめました。 

それから、正直あまり期待していなかったのですが、 ストーリーも良かったです。
終盤はうっかり感動してしまいました(笑)
それでいて、中盤までは結構笑えます。 
お母さんの声優の渡辺久美子さんもノリノリです(笑)

そんな「劇場版3Dあたしンち」は、時間が短め(43分)の為もあってか、アニメ映画のBDとしては安めです。
3D映画と考えると安くは無いんですけどね(^^;
でもまぁ、良く出来た3Dセルアニメですので、興味のある方は買ってみてはいかがでしょうか!? 
ちなみに私は、3Dセルアニメの中では一番好きかも知れません。