タイタニック3Dの3Dレビューです。

確かに素晴らしい。
けど、言いたい事があります。

一言で表すと、
良く出来る優等生だけど、ちょっと真面目過ぎ
そんな感じです。
上手く言ったつもりです(爆)



この作品の2D-3D変換は、ステレオD社とDigikore社VentureD社で行ったそうです。
パンフレットには、大口孝之さんによる2D-3D変換技術の解説まで載っていました。 
ここまで変換について詳しく解説しているパンフレットは初めて見ました。

(※パンフレットに、変換担当会社の記載ミスがあるようです。詳しくはコメント欄参照。)


さて、3Dですが、とても良くできていました。
さすが300人掛かりで60週間というだけの事はあります。
しかし良く見ると、目立つところはしっかり立体的になっていますが、目立たない部分では上手く手を抜いているのかなという印象です。
まぁ、目立つ所だけでももの凄い物量なんですけどね(^^;

立体感は、とてもバランス良く作られていました。
空間の作り方や物の配置など、2D-3D作品としては完璧といっても良いほどでは無いかと思います。
まるで3D撮影のようでした。

そう、せっかく2D-3D変換なのに、良くも悪くも3D撮影みたいなんですよ。
コンバージェンスポイントを遠くに設定して3D撮影したみたい。
近距離の人物の立体感が物足りなく感じました。

確かにバランスは良いんです。
3D撮影を再現するという意味では正しいと思います。
でも、そこまで真面目に再現しなくても良いのではないでしょうか。

ステレオ3Dは、表現手法の一つだと思います。
同時に、例え3D撮影であっても、人間の目で見たままを再現できるものではありません。
3D撮影を完璧に再現したとしても、それは結局“3D撮影”でしかないのだと思います。
ならば、多少ウソをついてでも、楽しい3Dにした方が良いのではないでしょうか。

例えば「塔の上のラプンツェル」などは、マルチリグという手法を使い、上手にウソをつき、楽しい3Dを演出していました。
「インモータルズ」は、思い通りの3D演出をする為に、あえて2D撮影3D変換を選択していました。この作品も、上手にウソをつけていたと思います。

ところがこの「タイタニック3D」は、せっかく2D-3D変換なのに、真正直に3D撮影を再現しているんです。
そこってそんなに重要?

3D撮影だったら、広い空間で後方発散を防ぐ為のリグだと前方のものが書き割りっぽくなってしまうのは仕方ないでしょう。
しかし、せっかく手間暇かかった2D-3D変換で“それ”を再現する必要はあったのでしょうか?

パンフレットに、ジェームズ・キャメロン監督の以下のようなコメントが載っていました。
「今回は、もし最初に3Dで撮影していたらこうなったはず、という印象に見えるようにしたいと思いました。私が3D変換を手掛けるのであれば、この点だけは譲れません。」
だそうです。 
何なのでしょう、この拘りは。 

それから、この映画も“左右にはみ出しつつ手前に飛び出す”シーンが多かったのですが、フローティングウィンドウ処理がされておらず、そういったシーンでは画面の左右端が少々見辛かったです。


さてこの「タイタニック3D」は、とても良く出来た3D映画だと思います。
ですが、どうせ2D-3D変換ならば、もっと魅力的な3D表現も可能だったのでは無いかと思いました。
良く出来ているのは確かなので、タイタニックが好きな方は是非。 


【追記】
情報をいただきました。
IMAX 3Dは、フローティングウィンドウ処理を行わない決まりらしいそうです。
海外のIMAXでは、左右はみ出して上映するのがデフォルトとか、そういう事なのでしょうかね?