一命の3D初見レビューです。
今まで「ファーストインプレッション」って言ってたけど、なんかダサいから、初見レビューにしました(爆)
でも、初見レビューもなんかビミョーだな…

一命は、本格的な時代劇としては初の3Dです。
「何で時代劇を3Dに?」とは誰もが思うと思いますが、パンフレットによると、
「日本古来の建築や空間独特の<奥行きの深さ>を画面に定着させるため、 3Dカメラを使用する事に決定」
との事。

しかし何やら、元々監督は3Dで制作をするつもりはなく、台本も3Dを意識したものではなかったそうです。 
そして、監督の意向で、全体的に視差を薄く撮影したとの事。

3D技術協力のイマジカの方によると監督は、「さり気ない3Dで良い。3Dで撮りさえすれば、一つ一つの人物とか、美術とか、そういったものが浮き上がってくるので、さり気なく映画の中に使いたい。」と言ったそうです。

さて、では「~<奥行きの深さ>を画面に定着させるため~」の下りは、一体誰が言った事なのでしょうね。 


それはさておき、実際どうだったか。

まず、撮影に関しては悪く無かったと思います。
むしろ、イマジカの技術協力があったとは言え、初めての3D撮影でこれはお見事だと思います。
同じイマジカ協力の3D撮影でも、ラビット・ホラーの3D撮影は酷いものだったと聞きます。

視差については、確かに薄めではありましたが、薄っぺらというほどではありませんでした。
ただし、全体的に視差が薄めである事は間違い無いので、<奥行きの深さ>はそれほど感じられませんでした。

また、広い野外も狭い部屋も、ほとんどのシーンが同じくらいの奥行きで撮影されている為、どの場所も同じくらいの広さに感じられて立体感のメリハリが無い。
これは、撮影現場で立体感をチェックしていたという監督によるところでしょう。 

なお、ほとんどのシーンが奥作りで、木の枝などのカメラの近くにあるものが時々手前に出てくる、という感じ。
目に見えた破綻もありませんでしたし、決して悪い3D映像ではありませんでした。
しかし、全体的に3Dを意識した演出では無い為、3D的に特別面白い映像は無かったと思います。

あ、でも、終盤の雪のシーンは、奥作りで薄めの視差ながらもしっかり立体感があり、良かったです。
3Dだから誤魔化しが効かないので、全体に雪を降らせるのが大変だったとか。


この映画の場合、監督が「さり気ない3Dで良い。」と言ってしまっています。
まずその考えが甘いと思います。
「さり気ない3Dで良い。」
そんな中途半端な考えで3D映画が作られるから、「なんとなく3D」だとか「料金を上げる為の3D」「2Dで良い」などと言われてしまうんです。 

何を伝えたいのかわからない映画を観ても何も感じられないのと同じだと思います。
何を3Dで見せたいのかわからない3D映像を見ても、何にも面白くない。 

来年のお正月映画として邦画の3Dが何作か公開されるようですが、心配です。


まぁ、元々3Dを意識した演出でなくとも、面白い3D映像になっている、という場合もあるんですけどね。
そういう場合は大抵、ステレオグラファー(=3D監督)の手腕によるところなのだと思います。