グラビティのBDの画質問題ですが、文字で書いても伝わらなかったり、ノイズなんて全然見えなかったという方がいたり、なにかとフワフワした感じになってしまっていたので、画像で比較してみます。

前回:ロケットニュースが「グラビティ」のBlu-ray 3Dを酷評した理由 【追記】

とは言っても、劇場公開版と比較できる訳ではありません。
差し当たり、劇場公開当時に公開されたYouTubeのトレーラーパシフィック・リムのBDに収録されていたトレーラー、そしてグラビティの2D本編で比較してみました。
すると、予想以上の結果に…

比較に使用したYouTube動画はこちら↓

解像度は全て1080pです。(←どこかの段階で720pになってしまってました。すみません。)
ではまず、本編の画像から。
本編

それからパシリムBD
パシリム

そしてYouTube
ようつべ

クリックして大きくした方がわかりやすいです。
本編とパシリムは、色味は違うもののノイズ感は同じと言って良いでしょう。
ところが、YouTubeだけツルっとしてます。
あと、パシリムとYouTubeが同じ色味で本編が違うというのも興味深いですね。

YouTubeはYouTubeですから、これと劇場版が同じノイズであったとは限りません。
しかし、劇場公開当時に公開された映像の方がノイズが少なかったという事にはなります。

ところで、比較してみると逆にYouTube版の方がデノイズ処理を掛けたような見た目ですね。
ノイズが少ないのと同時に、細かいディティールまで潰れてしまっているように見えます。
そもそもデジタル撮影とCGの作品ですから、わざわざそんな事をするとは考え難いのですが…。


そう言うわけで、BDの映像は劇場公開版よりもノイズ感が強い可能性が高いと言えるのでは無いかと思うのですが、私はノイズとかフィルムグレインが多いのがダメだと言うつもりはありません。
グラビティの場合、ノイズが多く、それでいてノイズのパターンが左右で違っているのが問題なのです。
フィルムグレインが多めの3D映画は例えばトップガン3Dなどもそうですが、2D-3D変換ですし、左右でパターンが違うような事はありません。
肉の蝋人形やダイヤルMのような3D撮影の旧作映画は当然左右でノイズの出かたは違いますが、それは当たり前ですし、そこまで目障りとは感じませんでした。

グラビティの場合、上記画像のような細かいノイズが左右で違うパターンで常にチラチラしています。
いわば細かい破綻が沢山あるような状態です。
どの程度気になるかは人それぞれだと思いますが、私は結構目障りだなと感じました。
また、テレビなどのノイズリダクション機能が上手くハマれば、YouTube版に近い感じで見る事ができるのかも知れませんね。

そもそも、グラビティは2D-3D変換及びCGステレオレンダリングで制作されているのですから、グレインなんてありませんし、ノイズだとしても左右で違うパターンで発生するなんて有り得ません。
比較してみた限りでは圧縮ノイズという訳では無さそうですから、考えられるのはポスプロ段階で左右にパターンの違うフィルムグレインを乗せてしまったという可能性です。
もしそうだとしたら、3D映像でそれはやっちゃダメでしょう!
何にしても、左右でパターンが違うグレインはダメでしょう!


ついでに、立体感の強さについても比較しておきます。
グラビティの3DBDはシネマスコープがレターボックスで収録されています。
↓そのままだとこうです。交差法です。

Title103 (37001)_元_00001
Title103 (37001)_トリ_00001

↑もし16:9にトリミングされていたら、こうです。

↓もう一つ。そのままだとこう。

Title103 (69859)_元_00001
Title103 (69859)_トリ_00001

↑トリミングしたらこう。


当然トリミングされている方が映像が大きいので、その分立体感が強いです。
このサイズの交差法で見ても結構違いますので、テレビだとかなり違うと思います。
ただ、トリミングされていれば良かったかと言うと難しい問題ですよね。
演出的にトリミングするのが難しいようにも思えます。
しかし、映画館や他作品の3DBDに比べて相対的に立体感が薄くなってしまっているというのは事実なのです。


それから、画面右端の棒について。
以前半透明と書きましたが、真っ黒でした。
クロストークが見えていただけでした(^^;
左が左、右が右です。

Title103 (92046)_00001

Title103 (94604)_00001

どちらも、右の映像の右端が不自然に切れています。
映像の内容を見ても、そのまま右の映像の方が画が欠けています。
つまり、これはフローティングウィンドウ処理ではありません。
フローティングウィンドウとはこういう事ですので、むしろ逆の事をしてしまっているわけですね。
意味がわかりません。何かのミスでしょうか。


という事で、グラビティのBD及び3DBDの内容の検証でした。
立体感が薄いという点については仕方無いとも言えますが、それ以外の2点については擁護できませんね。
今回使用したのはドイツ盤ですが、恐らく今度発売になる日本盤も同様だと思います。
でなければドイツ盤に日本語が入っている意味がわかりませんよね。

内容は私も好きですし、これらの事を気にしなければ(!?)十分楽しめるかも知れません。
それに、グラビティのBDが観たければ他に選択肢はありません。
なので買うという人を止めはしませんが、わかった上で買った方が良いですよという感じ。
この記事を読んだ後なら、「なんだ、言う程じゃないじゃん!」と思えるかも知れません(笑)



【追記】
フローティングウィンドウ処理について。
実際にテレビで見た方がわかりやすいとは思いますが、立体視して右端に注目してみて下さい。

↓元々はこうなっちゃってます。交差法。

Title103 (92046)_元_00001
Title103 (92046)_フロ_00001

↑やるんだったらこうでしょって事。

この違和感はテレビで見ていただかないと伝わらないかも知れません。