やっと観れました、「空の境界 俯瞰風景3D」
公開劇場が6館しかなく、テアトル新宿では一日三回しか上映が無く、3日先まで全席完売というような状況でした。
以前予告編を見て
レビューを書いたように、立体感についてはかなり心配していたのですが、まぁ3D映画が注目を集めること自体は良い事かなと思っていました。
しかし、考えが甘かった…。


この映画を観て目が痛くなったという方へ
全ての3D映画が目が痛くなる訳ではありません。
この映画の3Dに問題があるだけです。 

これからの視聴は、おススメしません。
観る方はご注意ください。


※動画は2D版のものです。 
 
まず内容について。
初めて観たのですが、
面白かったです。
中二病全開ではありましたが、かっこ良かったと思います。


で、3Dについて。
これはダメです。
今まで観た3D映画の中でも総合的に見て最悪かも知れない。

なお、この作品はパンフレットはありませんが、月刊ニュータイプ8月号にこの作品の3Dに関するコメントが載っているという情報をいただいたので、購入してきました。
記事はインタビュー形式のもので、受けているのはufotableの近藤光氏寺尾優一氏です。
お二人は、
以前のブログ記事でもお名前が出ていますので、併せてご覧下さい。
以下、記事を参考にしながら書きます。

【訂正】
公式サイトに載っている800円の方のビジュアルブックというのが、実質パンフレットでした。
改めて記事にしようかと思います。


何がどうダメだったか。

まず、記事によると、主に3D立体視化が大変なカットをufotableの撮影部が担当し、それ以外のシーンはイマジカとのコラボレーションとの事。
そして、
ufotable担当カットのいくつかで、
左右の映像が同期ズレ(タイミングズレ)
していました。
これはダメです。
3Dがちゃんと見えていない証拠です。
それから、キャラクターの造形もおかしいし、地面とキャラクターの距離感もおかしかったです。

それから、イマジカ担当カットは、
攻殻機動隊S.A.C. SSS 3Dのダメなシーンと同等でした。
3D空間も距離感も全部メチャクチャ。もちろんキャラクターの造形もダメ。

そして何よりもダメなのが、
おそらくほとんど全編、
左右の映像にある種の縦ズレが生じていました。

正直、最初は何がズレているのかわかりませんでした。
メガネを外してみても、あからさまな縦ズレやキーストーン歪みは見えないのに、メガネを掛けるとはっきりと目に違和感が。
そこで気付いたのが、最初から感じていた、画面全体の歪みです。
おそらく、軽く広角の入ったカメラで3D撮影をしたのではないでしょうか。
カメラのレンズによる左右の映像のそれぞれ異なる歪みが、画面全体に微細な縦ズレを生じさせていた。
確証はありませんが、そう考えると腑に落ちます。

冒頭からジワジワと目に違和感を感じたので、強く瞬きをしたりしながら気を付けて見続けたのですが、それでも観終わる頃にはかなり目が痛かったです。

こう書くとまた、環境のせいじゃないかとか、個人差じゃないかとか言われるかも知れませんが、そもそも環境によってズレが発生するなど映画館では聞いた事がありませんし、エクスパンドだったのでなおさらあり得ないと思います。
それから、一緒に観た知人も目の痛みを訴えていたので、少なくとも私だけが目の痛みを感じた訳では無いはずです。


記事にはこうも書いてありました。
「ufotableの撮影部は技術マニアだから、みんな3D立体視が好きなんですよ。」
本当でしょうか。
3Dが好きな人が、同期ズレやレンズの歪みによる破綻に気付かないなんて信じられない!

それから、堂々と同期ズレしていた冒頭の蝶々のシーンについては、
「微調整した映像を何度も見直すことによって、奥行きと立体感を確認していった」そうです。
何度も確認したのにズレてるという事は、3Dを見る目が無いのでしょうかね。


そんなこの「空の境界 俯瞰風景3D」の主要スタッフは、

3Dプロジェクトディレクター: 近藤光、寺尾優一
S3Dクリエイター: 佐々木弥生(IMAGICA)
S3Dテクニカルエンジニア: 大森智裕(IMAGICA)

これらの方々だそうです。

記事では最後に近藤氏が
「ufotableでは今後も3D立体視の作品を作り続けたいですね。」
と仰っています。

是非止めていただきたい。
もしくは、お願いですからちゃんとしたS3Dスーパーバイザーを雇って下さい。
あと、コラボレーションする相手も考え直した方が良いと思います。

これ以上、3Dを貶めるような事はしないで下さい。