行って参りました、アニメコンテンツエキスポ2013。
主目的は、「空の境界 俯瞰風景3D」の予告編を観る事。
5回くらい観てきました(爆)

ツイッターで報告した内容と結構被りますが、現段階でのレビューです。
(本編視聴後のレビューはこちら) 

正直、期待していたよりも3Dクオリティは低かったです。
あたしンち3Dか、イナズマイレブンの良い部分くらいを期待していたのですが…。

一、
まず見て思ったのは、ズレが多い事。
タイトルロゴのカットは何だか良くわからないズレ方をしていましたが、それ以外は恐らくほとんどが、ソフトウェア上で交差法の3Dカメラリグを組んだ事によるキーストーンひずみが発生しているのだと思われます。
キーストーンひずみについては、宮島英豪さんの本に詳しく書いてあるのですが、
交差法はカメラに角度を付ける為キーストーン歪みが発生し、左右の歪みの差によって3D映像にズレが生じる事です。
これが大きくなると、見辛い、破綻した3D映像になってしまいます。
特に目立ったのはパーティクルを使ったカットですが、アニメ絵だけのカットでもなーんかズレてたような気がします。

それから、
左右の映像でウィグラー(画面揺らし)のタイミングがズレている(同期がズレている?)カットもありました。


二、
次に思ったのは、キャラクターの顔が平面的な事。
胴・腕・顔それぞれの前後感はあるものの、それぞれが平面的。
丸みを帯びた人間ではなく、平面の集合体のような変な感じ。
カットによっては、顔が変に歪んで見えた部分もありましたが、顔のパーツ・主線が不自然にレイヤー状になっていたせいかも知れません。


三、
そして、それでいて背景はなかなか良くできているカットもあり、また、変にレンズの歪みが入ってしまっているカットもありました。


これらの事から考えられるのは、良く聞くデプスマップによる2D-3D変換ではなく、3Dモデリングとプロジェクション・マッピングによる2D-3D変換を行っているのではないかという事。
詳しくは
こちらをご覧ください。
そう考えると、全て納得がいく気がします。
つまり、2D-3D変換でありながら、3D撮影に近い立体感になっているのではないかと。
大口さん、もし間違いがありましたらご教示下さい(^^;

で、以前にも書きましたが、
ベタ塗りの絵(CG)というのは3D撮影には不向きです。
手書きの絵が中心でしょうからベタ塗りなのは良いのですが、せっかくそれを2D-3D変換するのに3D撮影みたいな事をしてしまうなんて勿体無い。

そもそも、現実を3D撮影をする場合は交差法のリグを組むのは仕方の無い事ですが(もちろん大きなズレの出ないように)、CGの3D撮影を行う場合には交差法というのは好ましくなくて、平行法のリグによる撮影と視差調節(HIT)が好ましいとされているはず。
宮島さんの本にも大体そんなような事が書いてあります。
3Dモデリングとプロジェクション・マッピングによる2D-3D変換だとしても、交差法で撮影するというのは一般的では無いのではないでしょうか?


さて、アニメコンテンツエキスポでは、ufotableの近藤光さん、平尾隆之さん、寺尾優一さんのお話を聞く事ができるステージがあり、その中でこの3Dについても触れていました。


「空の境界 俯瞰風景3D」について 抜粋
・二年前、近藤氏と寺尾氏の二人で3Dについて勉強するところから始まった。
・講座にも行った
・相当勉強した
・かなりいいところまできた

との事でした。
2年前からやってて“かなり良いところまで”来てこれか(^^;
お二人には、とりあえず宮島さんの講習を受ける事をお勧めしたい。
完成品では良くなっている事を願います。