先月、タイタニック3Dの3DBDが発売されました。
そして来月には、アイ・ロボット3Dの3DBDが発売されます。
恐らくこれらは、2D-3D変換作品として、対照的な2作品になるでしょう。
何が対照的かというと、予算と、それに伴うクオリティです。
現段階では推測ですけどね!

まず、タイタニック3Dについて思い出してみたいと思います。
2D-3D変換を担当したのは、ステレオDVentureDです。

http://eiga.com/movie/57471/critic/ 
http://eiga.com/news/20120330/14/ 
これらの記事を見ると、タイタニックの3D化について

・3D化に15億円

・作業人数は300人以上

・作業期間は60週間


という事がわかります。
本編195分ですから、1分当たり約769万円という事になります。

ちなみに、トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンは約2時間半のうち1時間半が2D-3D変換で、担当したうちの1社であるデジタルドメインの予算は1分当たり10万ドル近く、すなわち1分当たり約780万という事になります。(参照記事


一方日本の2D-3D変換作品では、「
3Dあたしンち」が1分当たり100万円で2D-3D変換をされたと、シルシルミシルで公表されたそうです。(Wikipedia参照
担当したのはキュー・テックグラフィニカです。
同じキュー・テックの実写2D-3D変換作品「THE LAST MESSAGE 海猿」は、
127分の作品を9ヶ月間で30人で作業をしたという記事がありました。
高めに見積もってみても、あたしンちからそう遠くはない金額なのではないでしょうか。

また、
怪物くんの2D-3D変換を担当したQXDの方が以前講演で、
「本当はもっと時間をかけて作業を行いたいけれど、
スケジュールの都合でそういう訳にもいかない」

というような事を仰っていたと思います。
つまるところ、こちらもそんなには予算が出ていない
という事なのだろうと思います。
怪物くんの場合、公表されている情報だと、103分の作品を20人で半年という事ですから、かなり安かったのかも知れませんね。

そういった話と合わせて考えると、タイタニックというかハリウッドの凄さがわかりますね(^^;
きっと、1分辺り769万円もの金額を2D-3D変換に使うなどという事は、
大作ハリウッド映画でなければ難しいのでしょう。
ですが逆に、背景や人物などの分かれた素材があれば、1分100万円でもあたしンちレベルのものが出来るという事でもあるのかも知れません。

上記タイタニックの記事によると
「髪の毛1本1本にまで、奥行きと厚みを与えるプロセスをスタッフ全員が手作業で行っている。本当に気の遠くなる作業だ」
という事ですから、最も手間が掛かっているのは素材の切り離しであるとかギャップの穴埋め作業という事になるのだろうと思います。


さて、ではハリウッド映画のアイ・ロボット3Dはどうでしょうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2100P_Y2A420C1TJC000/
http://www.jvckenwood.co.jp/press/2012/05/press_120507.html
この記事、リリースを見ると、JVCケンウッドの子会社による2D-3D変換で、
2年間で10作品のペースとの事。
そのビデオテックのHPを見ると、従業員数は56人となっています。
まぁ56人全員が変換をする訳ではないでしょうし、派遣社員を大量に雇っているのかも知れませんし、規模は未知数です。
ですが、仮に60人くらいで作業をするとしても、2年間で10作品のペースですから、
短期間・低予算と考えて良いのでは無いかなと思います。
さすがに全自動という事は無いと思いますが…。


タイタニック3Dは素晴らしいと思います。
ですが、同じハリウッドの作品であっても、2D-3D変換にそこまでの予算を掛けている作品はあまり無いのでは無いかと思います。
中には、プライムフォーカスのスター・ウォーズエピソード1のような、明らかに予算不足の作品もありました。
更に今後は、ハリウッド作品と言えども、BD用に低予算でそれ相応のクオリティで変換してしまおうという流れが出来てくるのかも知れません。


まぁなぜ今こんな事を書いたかと言うと、アイ・ロボット3Dにタイタニック3D並のクオリティを期待するのはそもそも間違いだし、低クオリティだったとしてもそれは予算によるところが大きいはずですよと、予め伝えておきたかったからです(^^;
でも、実際どんなクオリティかは見てみないとわかりませんし、
もしかしたらもの凄い高品質の3Dかも知れませんけどね!(爆)


【追記】
アイ,ロボット3Dのレビューを書きました。
http://www.3d3d3d.info/archives/19995768.html