怪物くんの初見3Dレビューです。
日本のQXD社による2D-3D変換。
結論から言うと、悪くは無いんですが、イマイチ。

まず、全体的にちょっと立体感が薄い。
要所要所は良い感じの立体感だったのですが、むしろ全体をそのくらいの立体感にして、強調する部分はもっと立体感を付けても良かったんじゃないか、という感じ。
ちょっと物足りない。

それから、人物の立体感とか造形とか、そういう部分は悪くは無かったように思うのですが、全体的なバランスがおかしいカットが目立ちました。
どういう事かと言うと、

1.一番奥の位置と一番手前の位置は決まっている
2.つまり、その範囲内に全ての物を配置しなければならない
3.なのに、人物や物に立体感を付け過ぎ
4.その結果、人物の立体感に対して背景が近すぎるとか、人物同士や物の距離感がおかしな感じになる

という事です。
「この位置の人間がこの立体感だったら、後ろの景色がこんな近くちゃダメだろう!」
という感じ。

「塔の上のラプンツェル」では、背景に比べて人物の立体感を強調していたと言います。
ひょっとすると、「怪物くん」もそれを狙ったのかも知れません。
ですが、「ラプンツェル」は違和感がありませんでしたが、「怪物くん」はその点ダメです。
もし狙ったのだとしたら、全体が薄過ぎるのに、強調が強すぎる、という事だと思います。

ところで…
3D監修の河合隆史氏がパンフレットに『今回は「怪物くん」の世界観を重視して、自然な3Dを狙いました。』と書いていますが、一体何を言っているんでしょう。
世界観を重視した結果、不自然な3Dになる事があるのでしょうか。
むしろ、怪物くんの世界観はある意味かなり不自然な部類だと思うのですが… 

さて、「映画 怪物くん」
決して悪い3Dという訳ではありませんし、3D的にとても良く出来ている見所もあります。
十分な視差を使い、空間の広さやメリハリを表現できていれば、もっと良くなっていたのではないかと思います。
ちょっと勿体無いなと思いました。


【追記】
QXDの方の講演によると、
「小さい子供が初めて見る3D映画になるかも知れない」
という事で、薄めの立体感にしたのだそうです。